シールドがごちゃごちゃする問題から解放され、アンプからの距離や態勢を気にすることなく演奏できるようになるワイヤレスシステム。
一昔前はプロのミュージシャンが使う憧れの機材みたいなイメージがありましたが、最近では技術の進歩により安価で音質が劣化しにくい商品が登場しています。
そんなワイヤレスシステムですが、5000円前後で手に入るものから、はたまた数万円する商品まで各社から発売されていて、どれを選んだら良いのか迷ってしまうと思います。
そこで今回は、音質の良さや通信の安定性に優れているオススメのワイヤレスシステムを紹介して、記事の後半ではギター用ワイヤレスの選び方のポイントを解説していきたいと思います。
オススメのワイヤレスシステムを11個紹介
数あるギター用ワイヤレスの中でも、特に人気が高いオススメの商品を11個ご紹介していきます。
Xvive XV-U2
- バッテリー:5時間
- 伝達距離:30m
- 価格:13,000円前後
卵くらいのサイズしかないコンパクトなギター・ベース用ワイヤレスです。
レイテンシーはわずか6ms以下で、最大5時間駆動するUSBの充電式のバッテリーを搭載しています。
ジャックの角度を変えられるのが特徴で、どんなギターにも対応しており「挿せなくて使えなかった」ということがなくなります。
最大で30mの距離まで電波が届きますが、周囲の電波との干渉やノイズのことを考慮すると、送信機から受信機までの距離は3m以内に収めることが推奨されています。
ワイヤレスの中でも安価な方ですが、非圧縮の20~20000Hzまでの音を届けてくれるので、細かなニュアンスも拾ってくれます。
また、ベーシックな黒色のほかに赤・青・木目調など、カラーバリエーションが豊富なこともポイントです。
Shure GLX-D16
- バッテリー:16時間
- 伝送距離:60m
- 価格:50,000円前後
Shureが初めて発売したペダルボード型のワイヤレスです。
送信機・受信機の他に、簡単に外れないようにロック機構があるプレミアムケーブル「WA305」が付属します。
受信機本体はペダルボード内に置かれて踏みつけられることを想定して、堅牢な金属製のボディで作られています。
また他のワイヤレスにない特徴として、ストロボチューナー機能が搭載されていて、フットスイッチを押すことでLEDの明るくて見やすい画面でチューニングを合わせられることが挙げられます。
そしてShure独自のLinkFreqシステムにより自動で周波数を検出して、もし電波が干渉する場合別の周波帯のユニットに勝手に切り替わり、安定した通信ができるようになっています。
送信機のトランスミッター側も妥協なく設計されていて、軽量かつ人間工学に基づいたデザインになっており、ギターストラップに取り付けた際にしっかりとフィットします。
Shure BLX14
- バッテリー:14時間
- 伝達距離:90m
- 価格;35,000円前後
ギターに限らず、マイクを含むワイヤレスシステム業界のパイオニア的存在のShureの入門モデルになります。
その特徴は、Shureの中でもハイエンドモデルのULXシリーズ譲りの、普通にシールドを挿して使っているのと変わらないくらい優れた音質にあります。
送信機側には26dbまで音量を微調節できるゲインコントロールが付いていて、受信機側には電池の残量などの動作状況を表示するLEDが付いており、価格の割には機能が豊富です。
また受信機にはラインアウトとXLR出力があり、両方同時に使うことができるので、片方はアンプへ、もう片方はPA卓へ送るという使い方も可能です。
動作には単三電池2本が必要になります。
BOSS WL-50
- バッテリー:12時間
- 伝送距離:20m
- 価格:21,000円前後
日本が世界に誇るエフェクターメーカーBOSSから発売されている、エフェクターボードに組み込む想定したエフェクターサイズのギター・ベース用ワイヤレスです。
さすがBOSSとも言えるほど、遅延のなさ、ピッキングの強弱のような細かな表現も見落とさない再現力を備えたエリートモデルです。
ワイヤレスではあるものの、シールドを使った際のリアルな音の質感を真似するケーブルシュミレーション機能が2パターン搭載されています。(もちろんオフにすることも可能)
また嬉しいのがDC出力があるという点で、このWL-50から他のエフェクターに電源を供給することができ、エフェクターボード内の配線をスッキリとすることができます。
Line 6 Relay G10
- バッテリー:8時間
- 伝達距離:15m
- 価格:20,000円前後
ギターのワイヤレスシステムの開発を始めて20年以上もの歴史を持つLine6から発売されている小型ワイヤレスです。
複雑な設定も必要なく、送信機をギターのジャックに差し込むだけですぐに使うことができます。
また、Line6ならではの高い技術力により、ラジオの電波や電化製品が発するノイズ、Wi-Fiの電波に干渉を受けない周波数を採用してるので、クリアなサウンドを楽しめます。
一定の時間操作されていないと自動でスリープモードになってバッテリーの消費を抑えたり、アンプをオンにしていていきなりギターからRelay G10を引き抜いても「ボン」と音が鳴らないようになっていたりと、細かいストレスを排除してくれる作りになっています。
受信機と充電台が一体になっているので、使っていない間にずっと挿しておくことで、いつでも満充電の状態で使うことができます。
シールドを使うのと同じくらい簡単に使えるので、ライブだけではなく、自宅での練習にも最適です。
Line 6 Relay G10S
- バッテリー:8時間
- 伝送距離:40m
- 価格:30,000円前後
Line6から新しく登場したRelay G10Sは、前のモデルG10のバージョンアップモデルになり、各機能が強化されています。
特に受信機側が進化しており、伝送距離が伸びたのはもちろんのこと、最新のケーブルトーン技術が使われていて音質もわずかながらに向上しています。
また前モデルがUSBからの給電しか対応していなかったのに対し、G10SではこれまでのUSBに加えてDC9Vのアダプターからも電源供給ができるようになり、パワーサプライも使えるようになったのでエフェクターボードに組み込みやすくなっています。
また出力側に普通のシールドの出力だけでなくXLR出力も付いているので、DIボックスのように使うこともでき、さまざまな環境で使えるフレキシブルさを備えています。
お金に余裕があり少しでも高性能なワイヤレスが欲しいという人は、迷わず新モデルのG10Sを購入することをオススメします。
JOYO JW-01
- バッテリー:3時間
- 伝送距離:20~30m
- 価格:10,000前後
激安エフェクターをはじめ、さまざまなギター周辺機器で価格破壊を続けている中国のメーカー「JOYO」が手掛けるワイヤレスシステムです。
安さとポケットに収まるくらい小さいサイズなのがポイントで、Wi-Fiで周波数帯域を使用し、広い伝送距離とノイズレスな高音質サウンドを実現しています。
設計はとてもシンプルでギターとアンプにジャックを挿すだけですぐに使用可能になります。
付属品はUSBケーブルと電源アダプターです。
Getaria 2.4GHzギターワイヤレスシステム
- 伝達距離:30m
- 価格:6000円前後
2.4Ghzの周波数で非圧縮のオーディオデータを送信することができるワイヤレスシステムです。
非常に安価ですが、48khzのサンプリングレートに対応していて、大きな遅延も感じないのがポイントです。
もちろん自動のチャンネル動機機能があるので、一度設定を済ませばプラグをギターに挿すだけで演奏可能になります。
本体の基本部分がプラスチック製で、手にとって見ると安っぽく感じるのが欠点です。
Donner DWS-2
- バッテリー:2.5時間
- 伝達距離:60m
- 価格:5,000円前後
Donner DWS-2は非常に小柄な作りが特徴の、60mの距離まで対応しているお手頃価格のワイヤレスシステムです。
安価ながらも受信機・送信機ともに4つのチャンネルを搭載しています。
また、レイテンシーは2.5ms以下ということで、音の遅れを感じることはまず無いでしょう。
使い方も非常にシンプルで、最初にペアリングをする必要こそありますが、一度設定してしまえば設定を記憶してくれるので、次回使うときには電源を入れるだけで自動に接続されます。
電源を入れるボタンと、チャンネルを切り替えるボタンの計2つしかコントロール類がないので、使い方に迷う必要もありません。
ammoon ギターワイヤレスシステム
- バッテリー:5時間
- 伝送距離:30m
- 価格:4500円前後
Amazonのレビュー欄でも軒並み高評価を得ている激安ワイヤレスです。
24bit-48KHzの信号で音を伝達するので、心配になる安さですが一昔前のワイヤレスより遥かに良い音質で演奏することができます。
ジャックが回転するので取り回しがよく、バッテリーの持ちも十分長いので、予算があまりない人やワイヤレスがどんな物か体験してみたいという人にもってこいです。
SENNHEISER XSW-D INSTRUMENT BASE SET
- バッテリー:5時間
- 伝送距離:75m
- 価格:33,000円前後
送信機・受信機ともに非常にスリムでさまざまな楽器に対応しているワイヤレスです。
音に関してプロフェッショナルなメーカーだからこそできる点として、4ms以下の超低レイテンシーな設計、障害物がない最適な条件だと最大75mまで届く広範囲な伝送距離を備えています。
本体はかなり細いのですが、電波が弱くなると赤や緑に点滅するランプがあるので、ひと目で状態を確認することができます。
充電には付属のUSBケーブルを使用し3時間で満充電になり、最大5時間動作します。
ワイヤレスシステムの仕組みとは?
ギターやベース用ワイヤレスは、主に送信機と受信機の2の機械から成り立っています。
まずはじめに、送信機側のトランスミッターを1/4フォーンプラグ(シールド)を通してギター本体に接続します。
商品によって、ギター本体のジャックに送信機兼プラグを直接挿すタイプか、短いシールドを伸ばしてギターストラップに固定して使うタイプの2種類に分けられます。
最近の安価なワイヤレスシステムは本体直接に挿すタイプが一般的で取り回しも良いです。
次に信号を受け取る受信機側ですが、アンプの上に置くタイプや、ラックマウントできる本格タイプ、エフェクターボードに収まる小型タイプまで種類はさまざまです。
これらの受信機とアンプをシールドで繋ぐことで、ギターの音がワイヤレスでアンプまで届くようになります。
注意点として、EMGやセイモアダンカンのBlackoutsのようなアクティブピックアップを搭載しているギターだと、TRSのジャックが原因で使えない場合があります。
その際はジャックの変換アダプターを使って1/4モノラルジャックにすることで動作するようになります。
アナログとデジタルのワイヤレスシステムがある
ワイヤレスシステムはアナログとデジタルの2種類が存在します。
アナログのシステムでは、楽器のオーディオ院号が一度圧縮されて送信され、受信機側で再度展開する仕組みになってます。
このことからも分かるように、圧縮と展開を行うので音の情報が失われる現象が発生し、音が劣化して音質に影響を与えてしまいます。
一方でデジタルのシステムでは、楽器のオーディオ信号をデジタルデータに変換し、圧縮しない暗号化されたデータとして電波に乗せて飛ばされます。
デジタル変換することで、元のオーディオ信号のダイナミクスをほぼ犠牲にすることなく、ケーブルレスで高音質のデータを送れるようになっています。
現在各社から発売されているギター用ワイヤレスシステムでは、全てデジタル方式が採用されています。
ギター用ワイヤレスの選び方
ステージ上でシールドにつまずいて抜けてしまう問題を解決したり、自由に動き回れるようになるワイヤレスシステムですが、どのような点を重視して選んだら良いのか解説していきたいと思います。
周波数の帯域を合わせるチャンネル切り替え機能
まず大事なのが、周囲に流れる周波数に合わせて、その周波数とは異なる帯域の電波を流して混戦を避けられる機能があるかどうか。
例えば、Aという帯域をすでに使っている人がいて、Bの帯域にチャンネルを切り替えられるかどうかということです。
自宅で弾く分には問題ありませんが、特にバンド活動をしていてワイヤレスを使う人が複数いる場合には重要になってきます。
高価なワイヤレスには、周波数をスキャンして、検出された周波数を元に受信機側が自動的に最適な帯域に設定する機能が搭載されています。
安価なものでも、4つくらいのチャンネルを手動で切り替えられるようになっているので、ギタリストはA、ベーシストはBというチャンネルを使い分けることで、バンド内で電波が干渉することを避けることができます。
現在販売されているワイヤレスシステムにはどの商品にも帯域を変える機能がついているので、よほど大人数で使う機会がない限り、まず心配することはないでしょう。
伝送距離
ワイヤレスシステムの多くは20mの伝送距離が最大な場合が多いですが、商品によっては60m・70mと表記されている場合があります。
そのような表記は遮蔽物のない環境でテストした最大の数値になるので、仕様書に書かれている距離までクリアな音が届くと鵜呑みにせず、大は小を兼ねると言われているように、必要な距離よりも広い範囲をカバーするワイヤレスシステムを選ぶようにしてください。
バッテリーの駆動時間
コンパクトなワイヤレスは便利ですが、本体が小さい分それだけ搭載されているバッテリー容量も少ない傾向にあり、長時間のプレイに向いていない場合があります。
また、充電を繰り返すことによりバッテリーが劣化して満充電からの駆動時間がだんだんと減っていく傾向にあるので注意が必要です。
ギター用のオススメワイヤレスまとめ
以上、取り回しがよく音質にも優れているオススメのワイヤレスシステムを紹介させていただきました。
個人的におすすめなのが、自宅の練習用に使うのであれば、ギターに挿すだけで使えるXviveの「XV-U2」かLine6の「Relay G10」で、ライブをする人だとエフェクターボードに組み込めてチューナーとしても使えるShureの「GLX-D16」ですね。
気になったワイヤレスがありましたら、ぜひ商品のレビューや概要ページを見て参考にしていただければと思います。
それでは最後までご覧いただきありがとうございました。