多機能ポータブルスキャナー「CZUR Shine」をレビューします。
こんにちは、紙の本から電子書籍派になった管理人です。
紙の書類を読み込んでデータ化することができる「スキャナー」。
ペーパーレス化が進んでいる中、オンライン化されていない書籍・説明書や自前のメモやなどをPDFに変換できる便利なアイテムです。
そんなスキャナーですが、大掛かりなプリンターやコピー機の機能を使ったり、モノによっては本を断裁する必要があったりする一方で、マットの上に書類を乗せ、スキャナー本体に搭載されたカメラで上から撮影するタイプの卓上スキャナー「CZUR Shine」が新たに登場しました。
今回メーカーの代理店さんからサンプル品を提供していただき、先行でレビューさせていただくことになりましたので、本記事では「CZUR Shine」について詳しく見ていきたいと思います。
CZUR Shineの概要・特徴
CZUR Shineは、スマートオフィス化をサポートするために主にスキャナーの面からアプローチしている中国のメーカー「CZUR TECH」から新たに発売される多機能スキャナーです。
これまでスキャナーといえば、コンビニのマルチコピー機のような機械に書類を挟むタイプの物や、紙を断裁して1枚1枚取り込んでいく物が一般的でしたが、最近ではより手軽に使用できるハンディスキャナーや、省スペースなオーバーヘッド型のスキャナーが登場してきました。
オーバーヘッド型スキャナーとして人気を博した「CZUR Aura」という商品が同社から発売されていたのですが、その後継モデルにあたるのがこの「CZUR Shine」になります。
そんな「CZUR Shine」の特徴は以下のとおりです。
- 本体が支柱と台座のみで構成されていてコンパクト
- 先端に搭載されたカメラは、スキャン以外にも手元の動画撮影にも使用できる
- スキャンの解像度はそこそこレベルだが必要十分
- フットペダルを使うことで、書類を両手で抑えたままでも操作できる
- ソフトの自動補正機能が秀逸
- 読み込んだ画像から文字を認識してWordやExcelに出力できる「OCR機能」を搭載
- USBケーブル1本で給電、PCとの通信が可能
- デスクライトとしても使用可
この中でも特に注目したいのが、本体の小ささと専用ソフトによる自動補正です。
従来のスキャナーと違いデスクの上に置いていても邪魔にならないサイズですし、書類が多少曲がっていようがソフトウェア側で自動補正してくれるので、手軽に使用することができます。
いくら高性能なスキャナーがあったとしても、準備が面倒で後からの編集作業も大変であれば、すぐに使わなくなってしまうと思います。
したがってこの「CZUR Shine」はスキャンのハードルを下げてくれる、日常使いにぴったりなスキャナーということができるでしょう。
一般販売予想価格は29,920円(税込)で、Makuakeというクラウドファンディングサイトでは、24%オフの22,700円(税込)から購入することができます。(2020年11月06日まで)
URL https://www.makuake.com/project/czur_shine
すで目標金額の14,000%を達成しており、支援者が3,000人を突破していることからも世間からの注目度の高さが伺えます。
CZUR Shineの外観と付属品
CZUR Shineの内容物は以下のとおりです。
- スキャナー本体
- 作業マット
- フットペダル
- USB-B to Aケーブル
- 抑え具(指サック)
- 取扱説明書
- ソフトウェアインストールCD
今回、デモ製品を提供していただいたため説明書が英語になっていましたが、実際の製品版ではしっかりと日本語に対応した説明書が付いてくるようです。
スキャナー本体は折りたたみ式になっており、組み立ては不要で、各パーツを開くだけで使えるようになっています。
一般的なスキャナーと違い、使わない時はコンパクトに仕舞えるのが便利ですね。
本体はマットでさらりとした手触りで、黒を基調とした中にも青のラインがワンポイントで入っており、物としての良さが感じられます。
操作系はダイヤル1つのみで、ダイヤルを押し込むことでライトのオン・オフの切り替え、ダイヤルを回すことでライトの明るさの調節ができます。
本体の各パーツを広げると、クランクのような形状になります。
少し安定感に欠けますが、この形状のおかげでカメラに台座が映ることがなく、手元を広々と使うことができるようになっています。
スキャナーの先端には、カメラとライトが付いています。側面には動画撮影時に使えるマイクが搭載されています。
カメラの画質は1300万画素で、最近のスマホと比べると見劣りする画素数になっていますが、実際にスキャンしてみると十分実用的な解像度を備えていることが分かりました。
台座部分のダイヤルを押し込むことでライトが点灯します。
書類をスキャンするときに鮮明に映すためのライトとして使えるのはもちろんのこと、デスクライトとしても使うことができます。
台座の底面には、PCと接続するためのUSB-B端子と、フットペダルを接続するためのUSB-A端子が配置されています。
また、バーコードの下部にはシリアルナンバーが印字されています。
このシリアルナンバーはソフトウェアのインストール時に必要になります。
作業マットは一般的なマウスパッドと同じような作りになっています。
これを敷いて書類と背面の明暗差をつけることで、スキャンの境界線の精度を上げているのではないかと予測されます。
マットの裏面は滑り止めが効いており、デスク上に置いて使っていてもズレる心配がありません。
抑え具(指サック)を使うことで、抑えている箇所をソフトウェアが自動的に判別し、実際にスキャンした画像には映らないように処理してくれます。
CZUR Shineの設定方法、使い方
■まずはスキャナー本体とPCをUSB-B to Aケーブルで接続します。作業マットを敷き、マットの切り欠きに合わせてスキャナーを設置します。
■CZUR Shineを使うにはPCとの接続、およびソフトウェアのインストールが必須になります。
ソフトウェアは約3ヶ月に1度の頻度でアップデートが行われているので、付属のインストールディスクを使うよりも、公式サイトから最新バージョンのソフトウェアをダウンロードする方が良いでしょう。
公式 https://www.czur.com/support/shineultra
■インストールが完了して起動すると、シリアルナンバーの入力が求められます。台座の裏面に記載されている英数字を入力しましょう。
■日本語が少し怪しいですが、どこで購入したか聞かれているようです。とりあえず「オンライン注文」を選択しました。
■メールアドレスを入力します。すると、使い方のYouTube動画などのリンクが記載されたメールが送られてきました。
■これでソフトウェアが使えるようになりました。普通にスキャナーとして使うには「スキャナ」を、プレゼン用に資料を作成するには「ビジュアルプレゼン」を選択します。
■右下の「スキャン」を押すことで、カメラが起動して実際にスキャンできるようになります。
■右のサイドバーからモードを設定します。カラーモードはとりあえず「自動補正」、ページ処理方法は書類に合わせて「湾曲した本」を選択しました。オレンジ色のセンターラインに合わせて書類の位置を微調整します。
■分厚い本などは、必要に合わせて抑え具(指サック)とフットペダルを使用しましょう。
■スキャンして取り込んだ画像が以下になります。プレビュー画面で見ると画質があまり良くなくて不安になりましたが、実際にスキャンした画像を見ると、歪みが補正されて細かい文字までバッチリ映っていました!
■左のサイドバーの「エクスポート」から出力して保存することができます。PDFにして出力してみたところ、公式で配布されているようなPDFファイルが出来上がりました。
■細かい設定画面から「マルチターゲットページング」を設定することで、複数の書類を一度にまとめてスキャンすることができます。
CZUR Shineを使ってみた感想
CZUR Shineを使ってみて感じた、良かった点・イマイチだった点を紹介していきます。
雑にスキャンしても、ソフトウェアが良い感じに補正してくれる
スキャナーを使用するときの懸念点として、書類がたわんでしまったり、指で隠れてしまったりして思い通りにスキャンできないことが挙げられますが、CZUR Shineはソフトウェアが優秀で自動的に良い感じに補正してくれます。
上記のように、わりと湾曲した状態でスキャンしても、歪みを補正して真っすぐの画像に仕上げてくれます。(右側のページ)
スキャンの際に神経質にならずに済み、気軽な気持ちで使えるのが最高ですね!
搭載されているカメラを使って、Webカメラのように動画撮影できるのが便利
PCとUSB接続するだけで、CZUR Shineのソフトウェアから動画を撮影することができます。
ちなみに動画のフォーマットはフルHD(1920×1080)のMP4でした。
またWebカメラのように使うことができ、例えばOBSという動画配信ソフトでは、映像キャプチャデバイスの項目に出てくる「ET13R」というデバイスを選ぶことで、映像・音声を入力することが可能になります。
最近流行りのZOOMにも使用することができるそうです。
特に嬉しいのが、撮影が難しい真上からの俯瞰撮影が簡単にできてしまうという点です。
通常であれば三脚やアームを使い、さらには微妙な角度調整が必要になるところ、PCと接続するだけですぐに真上から手元の撮影ができるのが便利です。
ライトも付いているので、影ができて見えづらくなる心配もありません。
画質はそこまで良くありませんが、情報共有が目的であれば全く問題ないでしょう。
黒い物体をスキャンするのが難しい
背景として使う作業マットが黒色なので、黒い物体を置いたときに認識させるのが難しいと感じました。
背景から浮き上がらせるために光を当てると、目当ての物が反射してしまい、うまくスキャンすることができませんでした。かといって作業マットを撤去してデスクの上でそのまま使おうと思うと、書類を認識する精度が落ちてしまいました。
書類のほとんどは白い紙をベースにしていると思いますが、黒い物体をスキャンしたい時には注意が必要です。
OCR(文字識別)の精度はイマイチかも
スキャンした書類をWordの形式で出力してみようとしましたが、文字の識別がうまく行かず、文字化けのような仕上がりになってしまいました。
英語のローマ字と比べて日本語は複雑なので、高解像度のスキャナーと高性能なOCRソフトを使わないと実用化するのは難しいと感じました。
高さ調整の幅が狭いのが惜しい
デスクからカメラまでの高さが28cm、35cmの2段階しか選べないのが惜しいと感じました。
カメラ側にズームする機能がないので、「本体側で高さを微調整できれば好きな画角に変えられるのに…」と思いました。
またデスクライトとして使えることを売りにしている以上、もう少し高い位置から光を照らすことができれば使い勝手が良くなるのではないかと思いました。
上部に力が加わったとき、手前に倒れてきそうで不安
オーバーヘッド型スキャナーは上から俯瞰で撮影するので、台座が映らない構造にする必要があります。
そのため本機では台座の端ギリギリに支柱が配置されており、上部の先端に力が加わった場合、手前に倒れやすくなっています。(根元に触れたときはビクともせず安定しています)
使いやすくするために軽量・コンパクトなサイズ感を実現させていますが、「台座部分についてはもう少し重量を増やして安定性を高めても良いのでは?」と感じました。
また、どうせ作業マットを使う必要があるのであれば、薄型の金属プレートをアタッチメントとして装着してマットの下に敷くと、手前に倒れてくる心配がなくなるのではないかと思います。
CZUR Shineの評価、レビューまとめ
以上、多機能ポータブルスキャナー「CZUR Shine」についてレビューさせていただきました。
スキャナー本体のハードウェア側には惜しい点がいくつか見られるものの、製品としてのアイデア、そして何よりもソフトウェアの自動補正機能の精度・完成度の高さには目を見張るものがあります。
在宅ワークをしている人に特にオススメしたい商品ですね。
ペーパーレス化を進めようと思っている人、スキャナーの購入を検討している人はぜひチェックしてみてください!